地域通貨は仮想通貨になりえるか(導入ハードルから将来予測まで)

地域通貨は仮想通貨になりえるか

 

長崎の五島列島や岐阜県高山市、飛騨市、白川村、福岡県柳川市で利用されている通貨が有名である。国が運用するマイナンバーを利用した自治体ポイントというのも存在している。

ブロックチェーン技術を利用した地域通貨はセキュリティが高く有効であるが、この制度を導入するためのハードルや将来性についてご紹介させていただく。

制度の導入にあたっては、地域通貨に限らず新しいサービスを導入する場合は同様だが一番難しいのが、

 

利用店舗への説明から参画に至るお願い

 

である。どこの地域通貨でもこの点が一番時間がかかり、イメージ通り進まないところになる。それよりさらに初動のところでは、誰が事務局を行い、その事務局費用を負担するかが課題になる。ただ、初動の段階は整備できている地域があるのだが、このお願いでつまずく地域は多い。

 

では、利用店舗の理解を深め参加していただくためにはどうした取り組みが良いか?


 

促進方法①

一つ目は、参加費用を店舗から取らないことは前提として、地域通貨を利用すれば初年度10%~20%引きにするようなサービスを事務局の負担で行ったり、逆に日本円を地域通貨にする時に10%~20%のプレミアム分を上乗せして販売を行う事だ。このメリットは高ければ高いほど利用率は進む。Paypayがスタート時に行っていた100億円分払い戻しキャンペーンがそれに該当する。ユーザーメリットと店舗メリット双方を出す。

 

促進方法②

二つ目は、システムをどれだけ簡素化できるかだ。特にアナログで運営している店舗ほど理解は難しいので、手持ちのスマホで利用できたりするなどの工夫は必要になる。決済システムや何か付属の機器などを付ける・・・といった説明をされるだけで気が引けてしまう店舗もあるため気を付けなくてはならない。このセキュリティを担保しつつユーザビリティの高いシステム要件を提示できるかも鍵だ。

 

あとは、地域限定だからこそのメリットを付けられるかだろう。この点は、地域活性化の基本(モノについて)で述べたように、制度を利用するのが一番手っ取り早い。特に国が発信した国全体に影響する制度の中で、地域限定が利用できるものは利用価値が高まる。

 

継続性が良い意味でも悪い意味でも高い事業

併せて、地域通貨の特徴としては、走り出したらよい意味でも悪い意味でもやめられない(やめにくい)。

 

理由は、有効期限によってそれまでは必ず事務局を運営する必要があるため単年度では終えにくい事業になるからだ。

 

良い意味でいくと、単発で終わらないため担当者含めて何らかのアイデア出しから新しい取り組みを強制的に行い続けていく。悪い意味で行くと、担当者が頑張らない限りメリットは永遠に生まれないため、目に見えない透明なハコものを持っているようなものだ。

 


将来予測:仮想地域通貨に市場原理を持ち込む

一方将来性としては、地域通貨ごとのレート連携などが出てくると投資的な役割も発生してくるためユニークになるかもしれない。

 

地域通貨の交換レートが株式のように変動していくようであれば更に注目は集まり、ユーザーも間違いなく集まっていくだろう。

 

更に、制度としてその地域に住まう住民には日本円や他地域との交換レートを優遇するなどするともしかしたら、移住定住者も増える可能性もあり、さらには地域内の流通が高まる可能性も出てくる。

 

 

ただし、こういった交換が出来ずに、ずっとプレミアム分の発行だけで賄っていくのは限界が生じると思われる。そのため10自治体程度の先進自治体がそういった形で市場を形成すれば面白い事になるのではないだろうか。