なぜ、企業の採用にダイバーシティが浸透しないのか?

なぜ、企業の採用にダイバーシティが浸透しないのか?

ダイバーシティ(多様性)という言葉はかなり浸透しているが、企業の雇用においてもダイバーシティの推進は急務になっている。

そもそも、企業のダイバーシティとは、性別、価値観、ライフスタイル、障害等の側面から多様な性格を持つ人々を積極的に受け入れることにある。一方で、採用する側である既に企業にいる人たちはダイバーシティが叫ばれる以前の人々が多いのでこれを受け入れがたいと感じている人も多いのではないだろうか?

 

ダイバーシティが叫ばれる以前は、企業の命令に忠実にかつ正確に動く人物を採用する傾向にあった。その人たちが採用を行うと、やはり無意識に同種の人物の採用をしてしまうことがあるだろう。それは、無意識に逃げになっていることが理由として挙げられる。

 

ダイバーシティを促進するというのは、これまでの企業が培ってきた規律や規範を守りつつも、考え方の違う人々を受け入れることになる。この促進がなされればなされるほど、グループとなってまとまって動いていた人はそれを受け入れることが出来ない状態に陥る。この不安から逃げに走るようになってしまい、結局のところダイバーシティが進まない状態を生んでしまうことになる。

 

出る杭が打たれている会社にダイバーシティは存在するはずがない

出る杭は打たれるという言葉があるが、これはダイバーシティとは真逆のことを意味する。そのため、出る杭が打たれる会社ほどダイバーシティの促進は行われていないことになる。

 

ダイバーシティを実際行う原動力は、今からどういった人を雇用していこうという方針よりも、まず先に既存社員の意識改革が必要になってくる。要は、「出る杭は打たれる」という言葉を企業から無くす活動をしなければならない。この浸透を促すのは、各チームの中での牽引役が担う活動であり、その牽引役が、既存の普通の感覚を変えていかなければならない。

 

既存社員の反発が生まれる理由は、これまでの社内の既得権益が奪われるのではないかという不安があるからだ。ここは社内ルールなどを変えて行く事で強制的に順応させることが出来るが、ある程度の離反も覚悟しなければならないだろう。

 

間違いなく、ダイバーシティが進まない会社は後退、維持までは出来ても進化は出来ない。これを外注して広い意味でのダイバーシティ企業を構築することも考えられるが、別企業とのコンソーシアムなどでダイバーシティを作ったとしても、利害関係などが発生した時にうまくいかない可能性もある。

ダイバーシティというのは、ヒトの体と薬に似ている。

今の社内という体に、多様性という異物を入れ込んだ時の拒否反応から最初は抵抗することが予想されるが、

それを受け入れたときに体に改善をもたらす。

 

ダイバーシティという薬を受け入れるか、受け入れないかは、今後の社内という体の成長と維持に関わってくることだろう。