「値決めは経営」は、京セラ、KDDI創業者であり、JALの名誉会長である稲盛和夫さんの有名な言葉です。
値決めは経営の意味するところ
最良の値決めとは、製品・サービスの利幅と販売数量をカケたものが極大になる点を決める事である。さらに、その点は購入者が満足する最高の値段である。
価格を低くすれば競合他社に勝てる。それは一つの経営としての方針や考え方でしょう。しかし、価格が高くても、購入者も満足していて、利益も価格が低い時よりも最大化されている。そうなった場合は、低く設定した価格は間違っているという事になります。
実際の図は、購入数×単価利益×満足度の3次元のメッシュグラフとなってきます。
購入する人はどんな人か?
仮にですが、超高級ホテルのロビーで、コーヒーが100円で飲めたらどうでしょう?確かに人は殺到し賑わう事には間違いないですが、ある人は、
・なんでこんなに安いのか?怪しい。
・ゆっくり出来る事がいいのに、ゆっくりできない空間になってしまった。
と思うでしょう。
コーヒーを100円にしない理由の一つは、まさしくホテル側が設定している購入ターゲットが違うからです。上記の不満を解消するために、1,000円なり1,500円なりで価格設定を行い、購入者は
・ゆったり時間を過ごせる空間
・品質が担保された安心感
を買っているということになります。
忘れてはいけない時間軸
先ほど、値決めで考えるべき3要素である購入数、単価利益、満足度を上げましたが、最後の一つとなるのが時間です。時間というとイメージが付きにくいですが、流行と例えても良いかもしれません。今、iPhone3Gを持っている人はかなり少ないでしょう。理由は、モデルチェンジと製品のライフサイクルがiPhoneの場合1年ぐらいになっているからです。
さらには価値観の多様化に伴い、好きなモノには価格を気にせず購入する傾向も出てきました。
いつまでに?最大化できる利益をどれだけ出すか?
この時間軸を忘れてしまうと、実は誤った価格設定になってしまっている事もある。
人の考え方は、年齢・成長・体験・経験と共に変化していきます。その変化を読み取りつつ、
値決めは経営者に任せっぱなしという意味ではない
“時代にあった”値決め
を行うように心がけ、経営を行うにあたっては、その時代を見抜くことも必要になってくるでしょう。
値決めは経営。ただし、勘違いして経営に全て任せるのは言語道断。
自分自身も経営者目線、購入者目線で考えた、自らの答えとその理由は、常に持っている必要があります。