自主事業と請負事業

自主事業と請負事業

 

自主事業と請負事業には特別な差がある。

まず、

 

自主事業=自分で仮説を立ててニーズがあると思った商品・サービスを創る事業

請負事業=明確なニーズがあるものに対して依頼を受けて創る事業

と区別すると、自主事業は本当にニーズがあり売れるかどうかわからない不安感の中で、自分が納得のいく商品・サービスを創ることで、仮説が当たっていれば、競合も少ないため有利に事が進められることが多い。

一方で、請負事業は、既にニーズがあるので、依頼されたオーダーを受ければ、収益を得ることができ、安定感があるが、既にあるニーズへのリクエストに対して一部、従わなければならない場合があり、フラストレーションが溜まることがある。また、既にニーズを満たす会社が複数ある場合は競合にも陥りやすい。

 

簡単にまとめると、

 

自主事業=ハイリスク・ハイリターン

請負事業=ローリスク・ローリターン

 

ともいえる。飲食店の開業などは、自主事業にあたる。この場所に、このメニューを展開すれば、利益が出る“だろう”。と考え、事業を行う。一方で、行政発注の事業や各企業のコンペ・入札というものは請負事業にあたることが多い。

また、別の観点で行くと、自主事業は、仮説に基づく事業のため、マーケティングやアイデアが重要なファクターとなるが、請負事業は、ニーズに対しての最適解を求めるため、テクノロジーや密接な営業力に重きが置かれる。

 

 

無難なのは、請負事業で資金力と技術力、営業力を高め、自主事業へと徐々にシフトさせていけば、安定感を持ちつつ、リターンが得られるフェーズへと移行することである。

 

ディスラプター(破壊者)と言われる企業の事業は、全て自主事業であり、この自主事業が世界を変えていく要素の一つになってくる。また、請負事業の中でも積極的に言われないことを追加で行うというのは、自主事業のテストマーケティングになる。建築家の安藤忠雄は初期から今に至るまで、クライアントから依頼を受けた敷地以外のエリアに関しても、リクエストを受けていないにもかかわらず設計プランを提出する。それは、自発的にこう変えたいという意思の表れであり、追加で受け入れられた時の喜びはひとしおだろう。なぜなら、仮にあなたが、洋服店の店員だったとして、1着購入が確定した矢先に、追加で提案を行ったことで2着目が売れたとしたら、店員としての存在意義も高まりうれしさを感じると思う。それが、別ジャンルの建築であれば、世に与えるインパクトや動く金額も含めて、なおさら楽しいと思う事だろう。

 

そんな自主事業を提案する回数も時間も無限にある。チャンスを逃すことなく、今動けば、もしかしたら社会的インパクトのある事業に、勝手に成長していることもある。そんな期待やイメージを持ちつつ、手を足を頭を動かしてみよう。